2013.07.21 Sunday
セビージャ・グラナダにて
モロッコでの体験が強烈で、セビージャに帰ってからの3日間は泥のように眠って、なるべく暑いので夜まではひっそりと暮らし、少し涼しくなってから近所へ散歩。一休みするのはこのたび見つけたお気に入りのbar。ここのバルは「足立区集会場」と勝手に命名しているのですが、なんとも下町情緒あふれていて、夫婦やら家族連れでにぎわっている。エネルギーの有り余ってるわるがきが三輪車で暴れまわって、それを知らないおじさんが叱り飛ばしているような昭和を彷彿させる懐かしい空気感・・・。
そしてアルハムブラの待つグラナダへ。実はここグラナダに来てからもう2週間が過ぎてしまった。社長のアルバイシンにあるこの家は最高のロケーション。ちょうどお城の対面にあり、朝日を浴びたアルハムブラ、鳥が飛び交う午前中のアルハムブラ、夕映えのアルハムブラ、月夜のアルハムブラ・・・何度拝んでも一度も飽きることがない。
だからどっこにもいかないでひたすら拝んで呼吸して掃除してご飯作って食べて練習している。最初の1週間はセビージャに留学していたカンテのK松美保ちゃんがともに滞在してくれたので、夜だけフラメンコを観にいったりお散歩に出かけたりおいしいお店を見つけたり、今度こちらに来る友人に案内するための事前リサーチができた。
そしていよいよ迫る27日のヘレス公演・アルムニェカでの2公演に向けて緊張が高まってくる。
毎晩いろんな夢を見る。
大きな運命の波が目前に迫りくる。のまれるのか、乗り越えるのか。でもわかっているのは、何があっても起きても時は過ぎるということ。
小さい頃はおとなしくてどちらかといえばクラス内のマイノリティ派だった私がずいぶんと大人になってから出会ったフラメンコに魅せられて、そのおかげでいろんなすばらしい出会いがあって、そのおかげで恐ろしいことも経験し、人として多くを学ばせてもらった。フラメンコの魅力は光と影、純白と漆黒、炎と氷、そして生と死・・・それらの対極するエネルギーがカンテを中心にギター・踊りを通じて折り合ったり渦巻いたり反発したりするところにあり、それは森羅万象に共通するもので、だから「フラメンコの実態」というものを一口に説明するのは難しいかもしれない。いろいろ読んだり聞いたりしても様々な見解がある。
もちろん元々伝統を色濃く受け継いできたアンダルシア各地の巨匠たち、そしてそれを引き継いできたアルティスタ達がこれからもその伝統を次世代へ残すことが正当であるという人もいれば、革新的な試みをするアルティスタ達もいるし、ユニバーサルになっていくのを危惧する人もいれば受け入れる人もいる。また、良い芸術家か良い人かというとそうもいかないことが多々あり、実際にそのことが原因で大変悲しい思いや悔しい思いをすることも多数あり・・・。
それでもフラメンコに大きな影響を受けた日本の一個人の私がやるべきことはといえば、尊敬の念を忘れずに引き続きその悩みを抱えながらフラメンコが何なのかと探求していくことと、こちらではガイジンである自分が日本のこころを伝えていくこと。
そして世界平和を願います。
ではまた・・